藤岡さんから2003年、3通目ののお手紙が届きました。
久々のバカンス先からのプライベート写真付きです。でもお手紙は、ちょっとマニアック?写真はもちろん大きなJPEG写真にリンクしてあります。お楽しみ下さいね。 感想のメールもお待ちしています。

 皆さんこんにちは。
 今日はちょっとマニアックな話です。
 最近、バーンスタイン作曲のキャンディード序曲の彼自身の指揮の演奏を聴く機会があった。2種類の録音で作曲者が指揮してるのに全然違う。思わずニヤリとしてしまった。テンポも全然違うし、例えば片方の録音ではsenza rit (リタルダンドをしない)指定の箇所でリタルダンドしてる。結局音楽は生き物なのだ。
 前にも書いたかもしれないけど、マーラーは「自分の曲を指揮して昨日と今日で全然違うのにメトロノームでテンポの指定なんかできるのか」と言ってる。ルトスラウスキも僕が彼のオケコンを振ったとき、演奏会後に僕の指揮がメトロノームより遅いテンポだったのにもっと遅い方がいいと言っていたし、その他色々あった。(その時の話はこちら)。ちなみに僕は吉松さんのメトロノーム指定は全然信じてない。
 テンポの事ばっかりになっちゃったついでに言うと、ブラームスは自分自身の3番の交響曲の1楽章を6つ振りしてたそうだ。今じゃ考えられない。要するに作曲者が作曲してるときに作曲者自身が気がつかない音楽の力ってあると思う。この場合は音楽の推進力が作曲者の考え以上にあったのだと思う。(だから今はもっと早い)。勿論指揮の技術的問題もある。
 
話はちょっとずれるが、とにかく演奏してみて作曲者が初めて気がつくことかが沢山ある。だから僕は初稿を参考にしても信頼はあまりしない。初めて演奏を聴いて作曲者が沢山変更するし、さっき言った作曲者が予想してない音楽の力がある事があるからだ。

これまた違った話になるが、フランセの前で彼のクラリネット協奏曲をリハーサルしたとき2楽章ですごくアンサンブルが難しいところがあって、中々合わなくて何度も練習してたら、彼が「なんでそこを何度も練習するんだ」って聞くから、僕が「マエストロ、ここ難しくて全然合いません」と言うと、「細かいこと気にするな」その後にフランス訛りで「アトモスフィーレ、アトモスフィーレ!(雰囲気、雰囲気!)」とか言ってた。 マルケヴィッチ(だったと思う)がハレ管でシベリウスの2番の練習をしてる時、シベリウスがこっそり練習を見てた。ステージ上では3楽章の5連符の箇所を何度も練習してて、シベリウスは「全然わかってない」と一言残して怒って帰っちゃったそうだ。(要するに、キャラクターを出すために合わなくていいように作曲してた部分だった)。
マルコム・アーノルドのアイルランド組曲を僕がリハーサルする前に彼は一言「何をやってもいい。ただし音楽を生き物にしてくれ」・・・。

某所で久しぶりのオフを楽しんだ藤岡さん

久しぶりのアップの藤岡さん。

曇天にめげず(だからこそ?)
ウィンドサーフィンに漕ぎ出す藤岡さん。

 こういう話を書くとキリが無いので止めるけど、29日のみどりの日のコンサートのショスタコーヴィッチの5番はメトロノームを初めとして色々曰くつきだ。ショスタコーヴィッチが本当に感動したという
バーンスタインの演奏は彼のスコアの指定と違うことが多い。
結局作曲者はその作品の演奏において、その音楽の裏側に潜むものをどれだけ生きたものにするかを期待しているのだと思う。

ところでこの5番を評価しない人もいるが、僕は傑作だと思ってる。特に3楽章は絶品で彼が書いた作品の中で、もっとも悲しく、激しい。全体的に当時の状況下の影響で聴きやすく書かれてるし、エンターテーメント性も強い。でもハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン他、みんなエンターテーメント性を強く持ってたのだ。4楽章のフィナーレは実は勝利でもなんでもない。自由に対する憧れ?の雄叫びみたいなものだ。(だから振ってると空しい)。そして最後の太鼓は怒りの八発。 

というわけで今回はちょっと支離滅裂にあれこれ書いてみました。皆さんまたコンサートでお会いしましょう! 

      2003年4月25日

PS1 ムーシンのレッスンを受けたとき、ショスタコーヴィッチは彼に「とにかく、僕のメトロノーム指定は信じないでくれ」と言ってた話を聞いた。じゃぁなんでメトロノームの指定をするんだ?

PS2 みどりの日のエルガーの協奏曲には思い出がある。イギリスに留学してすぐリヴァプール・モーツァルトオーケストラと言うアマチュアオケを指揮しにいった。最初の練習がこの曲で、楽団長と挨拶すると彼が「うちのオケの首席ティンパ二は昔サイモンラトルで、常任指揮者はズービン・メータだったんですよ」・・・・。練習はマジで燃えました。(ラトルはリヴァプール生まれで学生時代ここで太鼓を叩いてた。メータはここのコンクールで優勝した後、仕事が無くてここの指揮者をしてた)。

PS3 エルガーの協奏曲の思い出2。イギリスのシェフィールドの音楽祭でこの曲を指揮した時の後半が新曲の大オラトリオだった。400人を超える合唱団。オケはBBCフィル。3000人を超えるお客さんで超満員。ところがこの2時間近くのオラトリオ、終わったときはお客さんは400人ほどに減っていた。向こうの人達はハッキリしてる。

PS4 金曜の夜のTV、ひっぱれが終わったけど新しいディスコ曲の番組が始まった!最高!やっぱりクラブじゃなくてディスコでしょ!見終わった後、思わずめったにしない着メロを探す。スーパーフリーク、ザッツザウエイ、ハイエナジー、どれも無い!なんで!

   
※本ページの写真は藤岡さんのプライベート写真です。
     無断転用はお断り致します。


【藤岡さんのお手紙のバックナンバー】
【2000年6月までのお手紙のバックナンバーはこちら!
みなさんお元気ですか?
2000.7.7
残暑お見舞い申し上げます。 2000.8.11
きょうやっとベルファストから戻ってきました。 2000.8.27
9月23日のコンサートの後マンチェスターに戻ってきました。
 〜 今回はショルティの想い出です 〜
2000.10.02
今、ぼくは兵庫県小野市からの帰りの新幹線の中です。 2000.10.30
今回はマニアックな話です。 2000.11.25
タスマニアの Launceston という町にいます。 2000.12.11
みなさん明けましておめでとうございます! 2001.1.01
最高の恩師、渡邉暁雄先生の思い出です。 2001.2.15
吉松さんのレコーディングが終わったとこ ろです。 2001.3.30
パースの帰りの飛行機の中です。
2001.4.23
気がついたらもう5月末?!
2001.5.26
僕は夏が大スキだけど・・・
2001.6.21
今回は、マンチェスター関係の話 です。
2001.7.24
今はシドニーに向かって飛んでる飛行機の中。
2001.8.28
とうとう夏が終っちゃいましたね。
2001.9.12
いまさらタスマニアの写真は大昔って感じですが・・
2001.10.20
あーぁ今年も後少し。 2001.11.25
あっという間に12月の半ばですね。 2001.12.17
遅れ馳せながら 明けましておめでとうございます。 2002.01.26

相変わらずなんだかせわしなかった。

2002.02.26

10年前の思い出

2002.03.31

4月・5月の活動報告です。

2002.05.25
やっと吉松さんの新録音をイギリスで終えて一息。
2002.7.15
夏は今年もあっという間に終わり。
2002.9.2
超ハードな日程が終わって、ちょっと一息ついてます。
2002.9.22
今オーストラリアのアデレードにいます。
2002.10.13
もう冬ですねー。スウェーデン行ってきました。
2002.11.15
やっとちょっと一息。 2002.12.25
遅れ馳せながら明けましておめでとうございます。 2003.01.22
2月、3月は忙しくて、PCに触ることすら出来なかった。ごめんな
さい。
2003.04.01
〜藤岡幸夫さんを応援するWEBの会より〜
すでに届いたファンの皆さんのメールをご紹介しています。是非ご覧下さい!
そして、あなたも是非メール下さいね!


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