藤岡さんから、2005年の6通
目のお手紙が届きました。
今回のお話は、8月20日の「シベリウスの2番」にかける熱い想いです。
写真は携帯の写真なのでちょっと小さめ&24才の藤岡さんも。是非、お楽しみ下さい。
皆様のご感想のメールもお待ちしています。

  皆さんこんにちは。お盆はどうお過ごしですか?
 僕はシベリウスにどっぷり浸かってます。20日の「Meet the Classic Vol.11」でシベリウスの2番を取り上げます。この曲はずいぶん取り上げてきたけど関西フィルとは2年前の定期以来2度め。

 以前にも書いたけど、この曲には特別な思い入れがある。
 僕の師匠の故渡邉暁雄先生の十八番であり(先生のお母様がフィンランド人だった)、先生の内弟子時代にしょっちゅう先生の指揮する2番を見聴きすることができた。
 日フィルとの九州、四国、北海道などの演奏旅行にこの2番を取り上げていて、僕はカバン持ちで先生にくっついていたから色々な思い出が染み込んでる。
 特に亡くなられる2年ほど前からは先生の「2番を振るのはこれが最後かもしれない・・・。」というような気迫が毎回伝わってきた心打たれる演奏だった。
 先生が最後の演奏会で振った曲もこのシベリウスの2番だった。

 また、イギリスはシベリウスを最初に高く評価した国で、シベリウスをとても大切にしている。
 シベリウスもイギリスで自分の作品を何度も指揮しており、その伝統がイギリスのオーケストラに残っている。
 僕がハレ管の定期デヴューにシベリウス1番を選んだ時も、ボーイング他随分色々な事を教えてもらった。
 このとき古参の団員から面白い話を聞いた。
 ある、今は亡くなった有名な指揮者が若いときに、ハレ管にシベリウスの2番を振りに来た。リハーサル中にシベリウスがそっとリハーサルを覗いていた。その若い指揮者はアンサンブルが難しい何箇所かに時間をかけて練習していた。それを見ていたシベリウスは「アイツは何もわかっていない」と怒ってホールを出て行ったそうだ。
 シベリウスはすごく合いにくい書き方をするところがあってそれはワザと合わない音が欲しくて書いてるのだ。
 ところで僕のイギリスの師匠サー・チャールズ・グローブスの亡くなる直前のコンサートもリヴァプール・フィルとのシベリウスの2番(素晴らしく感動的で今でも耳と目に焼きついてる)。僕はこの曲には運命的な何かを感じる。

 シベリウスは非常に祖国愛の強かった人で、祖国の自然を愛し、酒癖が悪くて凶暴になることがあった反面、とても優しい人だった。
 この2番はまさにロシアの圧制が強くなったときに書かれていて、そこには明らかにロシアに対する祖国への熱い想いがこめられいると僕は信じている。
 最初イタリアで書き始められた。北欧人にとってのイタリアは魔法の国のようで、イタリアの自然や教会音楽の影響が見られたりするが、フィンランドに戻ってこの曲を書き上げ、さらに大幅な改訂をしたというから、その時点でイタリアに影響されてる部分より祖国への想いが強くなったのかもしれない。

 1楽章の聴きどころはなんといっても展開部で見える心の叫びや弦のユニゾンで奏される大地のようなうねりだ。本当に素晴らしい。なんて素敵なメロディなんだろう!
 2楽章は最もイタリアでの影響が残ってる楽章。それでもそこには暗闇の中での怒りや叫びが強烈にでてくる。酒を飲んで大声で叫ぶシベリウスがそこにいると僕は感じる。
 3楽章はまるで嵐だ。しかし決して暗くない。海賊(北欧は海賊で有名)が嵐の中で笑顔を見せているよう。中間部のオーボエのソロは北欧人にはたまらなく郷愁を誘うらしい。以前、台湾でこの曲を振った時にスウェーデン人のお客さんがやってきてこのオーボエの旋律で涙が止まらなくなってホームシックになったと言われたことがある。
 3楽章からなだれ込むように休みなく入る4楽章の冒頭のすばらしい力強いメロディ。この終楽章を聴いた初演当時のフィンランド人がどれほど勇気を与えられ熱狂したことか!祖国を熱く愛してやまない雄大で美しい音楽。

 今まで関西フィルとシベリウスを随分取り上げてきたのでどんな音が出てくるかすごく楽しみ。
  関西フィルと僕でしか出せないシベリウスの音をお届けします。それでは20日のいずみホール(完売間近!)でお会いしましょう!

               
      2005年8月18日



24歳の僕と先生と奥様。
日フィルとの四国旅行。写ってる僕が余りにダサいので載せるかどうか迷った。
 
鎌倉のお気に入りのお寺で。
 
深川の夏のお祭りに行く。
関西とはまたひと味違った
江戸の下町ッ子の夏だ。
PS1 渡邉先生の弟子になって最初に先生が2番を振る前プレゼントして下さったのがこの2番のスコアで、飛び上がるくらい嬉しかった。先生がアメリカで手に入れて若いころ使っていらした立派な表紙のもので「いつか振れるようになってください」という言葉とサインを入れてくださった。僕の宝物だ。

PS2 今度のいずみホールの2番はライブCD録音する。関西フィルとは初めてのレコーディングです。お楽しみに。

PS3 今日は関西フィルの大阪城公園の野外コンサートに行ってきた。楽しかった。僕は野外コンサートももっとやるべきと思ってるので参考になった。

PS4 今月衛星TVで「寅さん」シリーズをやってて久しぶりに見た。僕はイギリス行きたてのころこ、寅さんのヴィデオを山ほど持っていってホームシックと戦っていたのだ。今回久しぶりに見て「俺には帰る所があるからいつまでたっても成長できないんだ」という台詞が超懐かしかった。この台詞にあのころ随分勇気ずけられて(?)頑張って2年半帰らなかった。

PS5 来月はじめは毎年恒例の滋賀シリーズだ。今年もどちらも完売しそう。本当にありがたいことだ。僕にとって毎年この滋賀シリーズまでが夏。今年は次の日スウェーデンに直行して芸術の秋に入る。
 

※本ページの写真は藤岡さんのプライベート写真です。
 
無断転用はお断り致します。


【藤岡さんのお手紙のバックナンバー】
【2000年6月までのお手紙のバックナンバーはこちら!
みなさんお元気ですか?
2000.7.7
残暑お見舞い申し上げます。 2000.8.11
きょうやっとベルファストから戻ってきました。 2000.8.27
9月23日のコンサートの後マンチェスターに戻ってきました。
 〜 今回はショルティの想い出です 〜
2000.10.02
今、ぼくは兵庫県小野市からの帰りの新幹線の中です。 2000.10.30
今回はマニアックな話です。 2000.11.25
タスマニアの Launceston という町にいます。 2000.12.11
みなさん明けましておめでとうございます! 2001.1.01
最高の恩師、渡邉暁雄先生の思い出です。 2001.2.15
吉松さんのレコーディングが終わったとこ ろです。 2001.3.30
パースの帰りの飛行機の中です。
2001.4.23
気がついたらもう5月末?!
2001.5.26
僕は夏が大スキだけど・・・
2001.6.21
今回は、マンチェスター関係の話 です。
2001.7.24
今はシドニーに向かって飛んでる飛行機の中。
2001.8.28
とうとう夏が終っちゃいましたね。
2001.9.12
いまさらタスマニアの写真は大昔って感じですが・・
2001.10.20
あーぁ今年も後少し。 2001.11.25
あっという間に12月の半ばですね。 2001.12.17
遅れ馳せながら 明けましておめでとうございます。 2002.01.26

相変わらずなんだかせわしなかった。

2002.02.26

10年前の思い出

2002.03.31

4月・5月の活動報告です。

2002.05.25
やっと吉松さんの新録音をイギリスで終えて一息。
2002.7.15
夏は今年もあっという間に終わり。
2002.9.2
超ハードな日程が終わって、ちょっと一息ついてます。
2002.9.22
今オーストラリアのアデレードにいます。
2002.10.13
もう冬ですねー。スウェーデン行ってきました。
2002.11.15
やっとちょっと一息。 2002.12.25
遅れ馳せながら明けましておめでとうございます。 2003.01.22
2月、3月は忙しくて、PCに触ることすら出来なかった。ごめんな
さい。
2003.04.01
今日はちょっとマニアックな話です。 2003.04.25
今オーストラリアのメルボルンにいます。 2003.05.24
今オーストラリアのパースにいます。 2003.07.01
あーぁ夏なんか来なかったよ・・・・と思ってたら・・。 2003.09.03
吉松さんの新作、チェロ協奏曲の初演です! 2003.10.17
イギリスでのレコーディングが終わり・・ 2003.11.11
遅れ馳せながら明けましておめでとうございます。 2004.1.23
3月は結構忙しかった! 2004.4.27
やっと一息ついています。 2004.5.27
関西フィル新シリーズ、名古屋国際音楽祭、シンフォニーホール恒例東海大仰星コンサート、読響テレビ収録が終わってちょっと一息。 2004.6.23
今年の夏は暑いですねー。もう最高! 2004.8.8
それにしてもたくさんのお客様本当にありがとうございました。 2004.9.26
今スウェーデンから成田に向かう飛行機の中です。 2004.10.06
今回の手紙は逝去された園田先生に心よりの哀悼の意とともに捧げます。 2004.10.15
ニュージーランドから再びオーストラリアのブリスベンに向かってます。 2004.10.30
クィーンズランド菅の報告とサイモン・ラトルの思い出 2004.11.17
今年も本当にありがとうございました!! 2004.12.22
遅ればせながら「あけましておめでとうございます! 2005.1.24
関西フィルとは初めての東京公演、すごく楽しみにしてます。 2005.2.24
深く深くご冥福をお祈りいたします。 2005.5.2
一ヶ月の休暇明けは、関西フィルと和歌山でスタート。 2005.6.11
6月というのは僕にとって特別の月。 2005.7.1
〜藤岡幸夫さんを応援するWEBの会より〜
すでに届いたファンの皆さんのメールをご紹介しています。是非ご覧下さい!
そして、あなたも是非メール下さいね!


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