ファンの皆様待望の「トークショー」のレポートです。
2003年6月7日(土)にタワーレコード渋谷店で17〜18時で、吉松さんと藤岡さんの「新譜発売記念トークショー」がありました。「作曲家の関門」の「5番」をどう考え、どう作ったか、そしてそれをどう藤岡さんや奏者の人が演奏したか、興味は尽きない「深い」お話でした。ぜひ御高覧下さいませ!

壇上で、なにやらMACをいじる吉松さん。その横で怪訝な表情の藤岡さん。
ということで、いつもの調子で「名コンビのトーク」がスタート。
会場には新譜がたくさん並べてありました。
サイン会の風景その1
最前列で熱心に聴いていた未来の指揮者(奏者?作曲家?の君に、エールのサインを。
サイン会の風景その2
昔のコンサート話で盛り上がる二人。
サイン会の風景その3
ひとりひとりのファンの方とお話しながらサインをするお二人。

サイン会の風景その4
近況報告をする常連のファンの方その1。

 

サイン会の風景その5
近況報告をする常連のファンの方その2。
サイン会の風景その6
頼まれればどこにだって、サインします、その1。「勉強中のピアノの教本にお願いします!」「いいッスよ!」

サイン会の風景その7
頼まれればどこにだって、サインします、その2
。新譜のCDの表面にも・・。

サイン会の風景その8
鉄腕アトムのイラスト入りの(鉄腕アトムの)CDジャケットにファンの方がサインをお願いし、快く応じる吉松さん。
サイン会の風景その9
藤岡さんの誕生日の前日だったので、プレゼントを頂きました。
サイン会の風景その10
左は「愛用のボード?」にサインをお願いするファンの方。右の袋は藤岡さんの誕生日のプレゼント。

《タワーレコード渋谷店にて》
クラシックフロアにファンの方がたくさん集まって下さり、いよいよトークショーがスタート。
司会の方が「さあ、吉松さん、藤岡さんのトークショーの始まりです。ではお2人に拍手を!」パチ、パチ、パチ・・と始まったのに、吉松さんは机の上に持って来たノート型のパソコン(Mac Powerbook)をしきりにいじっている・・。

■藤岡さん:「何持って来たの?パソコンで音出すの?」と怪訝な表情。

■吉松さん:「え〜、こういう場所に作曲家と指揮者が2人並んでも「音」も出せなくてトークばかりなので、今日は少し趣向を変えて、パソコンを持ち込んでちょっと音を出してみようかと思います。もともと僕はパソコンで音楽を作ることができるようになった頃からトライしてきていて、その頃はとてもその作った曲をオーケストラのメンバーに伝えることはできなくて、結局、それを譜面に起す作業をやっていたけれど、今は本当にハードもソフトもレベルが上がって、スコア(譜面)を出力したり、全部を(パソコンが)演奏して指揮者やオーケストラのメンバーにシミュレーションして聞かせることもできるようになって来ています。それも非常に安いソフトでもそれができるんですよ。じゃあ、今回の(交響曲)5番も鳴らしてみましょうか?」

■藤岡さん:「ちょっと、ちょっと、今回の5番は、最初の出だしが(ベートーヴェンの5番「運命」を意識して)“ジャ・ジャ・ジャ・ジャーン”のところが、聴きどころのひとつなのに、ここで聴かせちゃったらせっかくここ(タワーレコード)に買おうかなと集まったお客様が、買わないよ(笑)!いやあ、俺は聴きたくないな〜!だいたいさ〜、吉松さん、俺よりMacのこと信用してるでしょ(笑)」

■吉松さん:「いやいや、そんなことはないよ。ただ、Macだとテンポが200でも300でもいくらでも演奏してくれるし、人間みたいに息継ぎしないし(笑)。さすがに、現場でホルンとかトランペットに“どこで息継ぎすればいいんですか?”なんて言われるとテンポを落さざるを得ないけど、夜中に自分でMacに向かって作っていると、エスカレートしてどんどん早くなるし、連続した演奏になるし・・」

■藤岡さん:「やっぱり絶対(俺やオーケストラの楽員より)Macの方が好きだよね。」

■吉松さん:「そんなことないよ。でも、確かにMacの方が言うことを100%聞いてくれるけど…。この人(藤岡さん)は言うこと聞いてくれないから…(笑)。まあ、実際には(交響曲)3番の時から本格的に100%Macでやっているんだけど、45分程の楽譜を渡して、オーケストラの人たちそれぞれが少し練習をして、で、本番を数回繰り返してCD用に録音する(初演=CD化)というのは、やはり本当に難しいことでね。だからその昔、そうやって初演していた作曲家・指揮者・演奏者も100%お互いに分かっていたかどうだか分からないと思うのね。今やっても(作曲家は)“う〜ん、思った通りにならないのは指揮者が悪いのか?演奏家が悪いのか?”と思っちゃうし。」

■藤岡さん:「作曲家は悪く無いわけ?(爆笑)(と、するどく突っ込む)」

■吉松さん:「それは全然思わない(笑)。悪いのは指揮者か演奏家かどちらか(笑)。で、 昔は初演されても“演奏された曲”が本当に作曲家の作った曲そのものであるのかは確信を持てなかったと思うんですよ。作曲家の方でも全部の楽器をできる訳ではないから、多くの作曲家はピアノ等自分の演奏できる楽器で弾いてみせたりしてイメージを伝えていた訳でしょ。今はそれがパソコンだとかなり正確にできるようになって来たってことですよね。」

■藤岡さん:「でも、できないテンポはできない!って(笑)。それに人間は息継ぎをするんだっていつも言ってるでしょ!(笑)今でもMacで聴いても譜面を見ても“できねーよ、これ?”って、(楽団員)皆言ってる(笑)。」

■吉松さん:「う〜ん、夜中に作っていると、管楽器のブレスを忘れちゃうんだよね〜(笑)ホルンとかフルートとかね。スコア渡す時、ほんと、すいませんって感じで・・・。」

■藤岡さん:「PC上で曲ができるいっていうのは、ほんと善し悪しですよ。」

■吉松さん:「で、今回の始まりのジャジャジャジャーンだけどね・・。」

■藤岡さん:「本当に聞かせちゃうの?(御来場の)みんな、(5番のCD)買わないよ!(笑)。」

■吉松さん:「まず、はじまりの部分を(PCの)ピアノで・・・(会場にスピーカーで響く)。次に、MIDIでフルオーケストラで音を出したもの(同様に会場にスピーカーで響く)。そして藤岡君の指揮になると・・・(音声はたぶん圧縮されているので、残念ながら会場ではCDのようには聞こえない)。」

■藤岡さん:「続きは是非買って聴いて下さい(笑)。でも今回の5番を聴いても、吉松さんはホント冴えてるなと思いましたよ。とにかく基本が5拍子なの。いいんだよね、それが。もらった時には“こんなもん、できねえよ!(笑)”と思ったけどね。ベートーヴェンの5番の出だしは“ン・ジャジャジャジャーン”って8分休符が入っているので、リズム的に不安定なんだけど、それが緊張感を増すようにできているんですよ。でも演奏する生身の人間には「スリリング」を超えて「怖さ」が先に来てしまうほど難しい。一般的な「運命」って(アマチュアレベルでは)“ジャジャジャジャーン”って3連符になりやすくてうまく演奏できないのね。で、僕としては、(吉松さんに)この“ン・ジャジャジャジャーン”にこだわられると難しいな〜と思っていたら、意外にもこだわらず3連符で作って頂けて、おかげでこのテーマを思いっきり鳴らせましたよね。」

■吉松さん:「“ン・ジャジャジャジャーン”ってやると、その後このモチーフを展開しやすくなるんだよね。他と繋がりやすい。ベートーヴェンは作っててそれに気付いて冒頭を変えたのかも…なんて思ったりするんですよ。」

■藤岡さん:「なるほどね。確かにそうかもしれないね。」

■吉松さん:「“交響曲第5番”をどうするか?というのは作曲家にとっては大きな通過儀礼で、チャイコフスキーにせよ、ベートーヴェンにせよ、そういう作品を意識すればするほど、引用になるのか、パロディになるのか・・。自分としては、そういうこだわりを含めて本気で“5番”を作った。ちょと別の話になるけど、古い人は知っているんだけど、実は「Victory」を意味する「V」はモールス信号でこの「ジャジャジャジャーン」を使うのね。「5番=V(ローマ数字の5)=Victory=我勝利せり」って感じで、連合国は戦争で勝利するとこの“ジャジャジャジャーン”をモールス信号で流したわけ。ショスタコーヴィチの7番の4楽章に“ジャジャジャジャーン”て出てくるんだけど、彼はまさにこの意味を込めて作っているんですよね。で、今回のジャケットで「5」を数字ではなく「V」であしらっているところを見ると、イギリス人にはそういう歴史がちゃんと残っているのかな?と思う。ちなみに、ジャケットの話をしておくと、どうもイギリス人は日本というと「フジヤマ・ゲイシャ」と思っているらしく、1番のジャケットの時は最初菩薩像みたいなデザイン送って来たり、その次は芸者だったり、4番の時は「石庭」みたいな感じだったし・・。そして今回のは先程話した「V」をあしらい、鳥は「鳥たちの祝祭への前奏曲」の鳥だし、そして月(満月)の回りに細い円が多数あるのは「アトムハーツクラブ組曲 II 」の「アトム(原子)」のイメージで、原子のまわりを中性子とか陽子とかが周回しているイメージで、3曲のモチーフがちゃんと全部入っていて、今回は“(イギリス人の)彼らもようやく分かってきた!”という感じなんですよね(笑)」

■藤岡さん:「でも、俺“交響曲第2番「地球にて」”の砂漠に足跡のジャケットも好きだよ(笑)。」

■吉松さん:「あと5番を書くのに“ファウスト”を非常に意識しましたね。“ファウスト”の話は、俺もそろそろ落ち目か〜?と思った中年の学者が、悪魔に魂を売リ渡すことと引き換えに若さを得て、若い女性(グレーチェン)との恋に落ち、子供を生ませ、その子を殺させ自らも発狂し、悪魔との契約を果たさないのだけれども、グレーチェンのおかげで魂は天国に召される。…という話ですが、私(吉松さん)自身今年で50才になるので“若返って生き直すか?”とか思う反面、昔からよく読んだ森鴎外や、中島敦なんかの影響を含めて、“モン(我が)ファウスト”を書いてみたいな〜と思っていましてね。それにリストが“ファウスト交響曲”を書いた1854年からほぼ100年後。それを意識してやはりファウストを題材に書いたと思われるショスタコーヴィチの“交響曲第10番”。これは1953年、つまり私が生まれた年に書かれたんですね。そんなこともずっと頭にあって…。まあ私の場合は隣に悪魔が来て(藤岡さんのこと)、(5番を)書け!書け!としつこいのもあるんですがね(笑)。」

■藤岡さん:「僕は、悪魔じゃないでしょ!(笑)優秀な右腕ですよ、右腕!」

■吉松さん:「悪魔みたいなことしてるじゃん!(笑)・・(とイミシンな突っ込み)。」

■藤岡さん:「でもホント、吉松さんが魂を本当に悪魔に売り飛ばして、若い女の子を囲い込んで、そうなったらどんな音楽を書くのか聴いてみたいな!」

■吉松さん:「あなたは、普段そんなのばっかだから(笑)」

■藤岡さん:「そんなことないって!!(笑)。(あまり黙っていると“悪役”にされしまうので、藤岡さんも反撃。)でも、吉松さんの3番は、それまで吉松さんが書きたかったのに現代音楽という重しで封印されていたものをすべて解き放したというか、吹き出したって感じですよね。4番はぐっと気楽に軽く書けた感じ?演奏する方は大変なんだけど軽く書いてる感じがする。」

■吉松さん:「いや、やる事は同じだけあって、ホントは大変なんだよ。」

■藤岡さん:「まあ、イメージですけど“なんの苦労もなくファーってできた”感じ?」

■吉松さん:「苦労したって言ってるでしょ!(笑)簡単そうなのと簡単なのは違うの!」

■藤岡さん:「で、5番は委嘱ということでもあり、作曲家としても書かねばならない関門で、そういう中で、いつも以上に“構成”のレベルが高いと思いましたね。もともと吉松さんは“構成力”が高いんだけど、今回のはずば抜けて高い。」

■吉松さん:「今迄の作品はあくまでも音とか、音楽的構成だけの視点だったけど、今回は“ファウスト”的な視点も含めた構成を考えているから・・。」

■藤岡さん:「でもさ、4楽章は恥ずかしいよね!演奏していて恥ずかしい。繰り返しすぎなんじゃない?これ初演は都響とやったんだけど、リハーサルでも4回のうち第4楽章の最後の部分は1回しかやらなかったもの。吉松さんに、リハーサルの時に「4楽章、恥ずかしいッスよ!」って言ったら「人間は恥ずかしいことが一番気持ちいいんだ!」とか言うしさ(笑)。まあ、僕は他の曲でも確信犯的にリハーサルとはテンポを変えるけど、この曲もそう。確信犯的に、本番でいきなりびっくりするテンポで引っ張って行った。都響は、1回本番で“燃え尽きて”それで終わり・・だからいいけど、CDの録音はそうは行かないんですよ。BBCなんかはもう慣れたもので、いつも録音の時は社長のラルフ・カズンっていう社長か、僕を引張ってくれたブライアンが立ち会うんだけど、“ヨシマツの時”は、“オケが燃え尽きてOKが出ない時に代わりに演奏する場合用”に、金管系に1.5倍くらいの人数準備している。トランペットが6人とか(笑)、フルオーケストラ以上の準備をして待っている(笑)。4番の時も「12型」か「10型」のオケでいいって言っているのに、いきなり「16型」でメンバーが待っていて・・(笑)。社長のラルフはうるさい人なので必ず4テイクはやらされるから、CDの録音の時は団員がいろいろ工夫をして、助手とか知り合いの奏者を引っ張ってきて、代わりばんこに演奏したり、連続するところを分業したり・・。でも今回さすがにこのテンションを4回持続させるのは無理だと察知したらしく、最後は2テイクでいいって言ってくれました。でも「5番」は、メロディを繰り返すことに歯止めをきかせるのをやめたというか、昔の吉松さんだったら、“もうすこし繰り返して!”って思う寸前で止めていたから、この頃すごく印象が変わった。」

■吉松さん:「まあ、繰り返すのもパソコンなら延々に繰り返してくれるしな〜。本当は「ヘイ・ジュード」みたいに転調もなしに12回ほど繰り返してやろうかと思っていたんだけど(笑)。いやほんと、やりたかったんですよ(笑)。」

■藤岡さん:「どうやって終わるの?フェイドアウトさせるの?(笑)。もう、Mac嫌い!(笑)でも ほんと、僕はパソコンが嫌いで、e-mailしかもうやりません!とにかくソフトの「インスツール?インストール?」ができなくて。先日もオーストラリアにパソコンで見ようとDVDソフトを持って行ったのに、DVDソフトを見る為のソフトをインストールしたら全然できなくて。もう、ほんと、パソコンは大嫌い!」

■吉松さん:「まあ、パソコンも所詮道具でね。たぶん、ピアノが発明される以前はギターやフルートとかで作曲していたと思うんだけど、ベートーヴェンや、フランクなんかの頃にピアノを得て、作曲の、交響曲の作り方の幅が拡がったと思うのね。たぶん、アナログかデジタルかとかは違うけど、作曲家のイメージを90%以上伝えるという意味では、パソコンは、ピアノの発明と同様に大きな革命なんだと思う。」

■藤岡さん:「吉松さんの夢としては5番をロックミュージシャンに演奏してもらいたいと思っているよね。」

■吉松さん:「うん。私自身ロックミュージシャンのつもりだし、この5番のパーカッションなんか、もろにプログレの影響を受けているんだけど、イギリスの連中はそれを分かってくれるんで嬉しい。」

■藤岡さん:「そうそう、イギリスではもっとロックは権威があると言うか、クラシックの指揮者や演奏者のホーム・パーティへ行ってもBGMはロックがんがんだし。」

■吉松さん:「一昨年あたり、“イングヴェイ・マルムスティーン”というロックのすごいギタリストが来日して、“エレキギター協奏曲”ってのをやって話題になりましてね。普通にやるとロックなんだけど、その彼ですら、ビバルディとかやると、バッハとかバロックっぽくなっちゃうんだよね。やはりクラシックに劣等感があるのかな?というのもあるけど、それよりもオーケストレーションに問題があるんじゃないかって思っててね。ロックをオーケストラで本格的にやるにはどうしたらいいかって、ひとつ答えを出したかった。」

■藤岡さん:「BBCのメンバーは吉松さんと同じ位の年齢の人が中心で、プログレとか好きな人も多いんですよ。だから特にその辺は敏感に感じ取って演奏してくれるよね。」

■吉松さん:「プログレの部分は、YESとかエマーソン・レイク&パーマーの引用があって、彼らはそういうのに敏感に反応してウケるんだけど、さすがに「アトムハーツクラブ」に入っている鉄腕アトムの主題歌の「タン・タン・タ・ター・タ・ター」なんかは当然分からないよね(笑)」

■藤岡さん:「日本の演奏では笑い声が出るけどね。でも、アトムハーツクラブも録音の時に「ブギ・ウギ」で行こうということで、最初に、「ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォー」って入れようってことになって、立場上コンサートマスターが声をかけることになったんだけど、これがロシア系のユダヤ人で、ロックに似合わないというか、そういう音楽に接していないから、ほんとダサイの。それCDに録音さているのがちょっと悲しい(笑)」

■吉松さん:「でもこれ、最後、ノリノリで終わったら声を挙げてもいいってことにしていたら、奇声、嬌声いろいろ入っていて、とてもクラシックの録音とは思えない(笑)。」

■藤岡さん:「この曲はすごくアナログ的だよね。」

■吉松さん:「でも、これもコンピュータで作っているんだよ。厳密には4番から100%コンピュータ。3番の時は半分半分くらい。」

■藤岡さん:「3番は僕(藤岡さん)に献呈して頂いた曲で、思い出も深いんですけど、あの時は譜面が手書き、アナログなんですよね。あの手書きにはなんともいえない重みと言うか、やっている方(指揮者・演奏者)にはなんとも言えない重みがある。」

■吉松さん:「実際には5番になると、アナログに戻るというかアナログ以上に繊細なことができるようになっているというか。CGとかでも昔はカクカクしていて、一目でCGだと分かったけど、最近のCGは人も怪獣もそのまま生きているみたいでしょ。あれと同じで、コンピュータの技術(ハード・ソフト)が進めば進む程、従来の人間の手の)アナログではできなかったアナログ的なことが(デジタルの技術で)できるようになってきている。5番はその大きな1歩という感じ。」

■藤岡さん:「コンピュータがアナログに近づいているってこと?」

■吉松さん:「そう。だから自分としてはさらにアナログ的な6番を書きたいなと思っている。」

■藤岡さん:「6番は急がなくていいから、吉松さんが本当に書きたい!と思った時に書いてね。…その前に、ず〜っと前から吉松さんに“書いて!”ってお願いしていた「チェロ協奏曲」がこの秋完成するんですよね。僕は、チェロ奏者ってすごく優秀な人がたくさんいるのに、ピアノとかヴァイオリンとかに比べて、曲が余りにも少ないのが勿体無いと思っていて、是非、そんな才能あるチェロ奏者のためにいい曲を作ってあげたいな・・と思ってお願いしていたんです。」

■吉松さん:「チェロ協奏曲はドボルザークやエルガーなど、数は少ないけど超強力な名曲があるので、5番と同様に非常に難しい。」

■藤岡さん:「まあ難しいなりに作ってもらって初演・・大阪と東京でやりますよ。でも新曲をもらって初演してみたら演奏が思いがけず“イマイチ”って時もあるよね。以前、東京の初演は僕じゃなかったんだけど、「鳥たちの祝祭への前奏曲」を関西でやった時はこの曲何かイマイチだなと思ってたんだよね。でも後日CDに録音してみて、やっぱりいい曲だな〜って思ったしね。」

■吉松さん:「それって、指揮者が自分だからいいと思ってるんじゃないの?(笑)」

■藤岡さん:「いやいや、だから、関西でやった時の僕の勉強不足だったんだって。メモ・フローラも東京での初演の出来が悪くて、ピアニストの田部さんと話し込んだり録音を聞き直して、いろいろディスカッションした挙げ句、“そうか、テンポが遅かったんだ!”と意見が一致して、マンチェスターでリハーサルした時に2人で納得したテンポでやったら、今度は早すぎて、吉松さんは「俺はこんな演奏を聴く為にイギリスに来たんじゃ無い!」って怒るし(笑)」。

■吉松さん:「初演は、作曲家と指揮者と演奏者が“見合っちゃう”んですよね。こんな感じでどうでしょう?みたいに。藤岡君も珍しく「ピアノコンチェルト」の時は見合っていた。」

■藤岡さん:「だから、初演を1回やって、その反省を踏まえて録音。っていうのがやっぱり理想だよね。」

■吉松さん:「確かに、そういう意味でも3番、4番は大変だったね。」

■藤岡さん:「さっきも言ったけど、以前の吉松さんは“もう1回聴きたい!”のちょっと手前で止めていたのが、今回は歯止めなく恥ずかしい程繰り返しているでしょ?だから次回の6番は、どろどろで暗くてマニアックでメロディも無くて、何だか訳の分かんないようなやつ書いて欲しいな。12音技法なんかでさ。“やっぱりシェ−ンベルグは最高!”とか言っちゃったりして(爆笑)。」

■吉松さん:「実は“ウェーべルン協会”なんか作ってみようかなんて話もあったりして(笑)。まぁ、今回は5番を聴いて、皆さんも一緒に“恥ずかしい=気持ちいい”を共有しあいましょう(笑)」

ということろでお時間となりました。そしてその後は恒例のサイン会。 ファンの皆様のご希望の場所にご希望のお名前を書いたり・・と、お二人ならではの気さく でフレンドリーなサイン会となりました。

文責:「藤岡幸夫さんを応援するWEBの会」
SPECIAL THANKS かなだ けいこ 様 

【過去のトークショーのバックナンバー】
■2001年12月15日(土)15時〜タワーレコード渋谷店17時〜HMV渋谷店のトークショーはこちら!
■2000年10月21日(土)17時〜タワーレコード渋谷店でのトークショーはこちら!
■1999年7月3日(土)16時〜タワーレコード渋谷店でのトークショーはこちら!
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